桐丸太の選木
桐の丸太や立木の選定には、かなりの経験と洞察力が必要です。あらゆる方向から観察をして、製材後のイメージをふくらませて選木を行います。
特に注意すべき点は、虫害とガマ割れです。
板乾燥・製材
桐の丸太は、製材の瞬間に、その使用部材を決定して、その時に厚みも決定します。この即決によって、丸太を十分に生かすことができます。適材適所が、ここで、まず最初に行われます。
桐の家具を造るには、桐板の乾燥が大切な工程です。写真は、現在乾燥中の日本の本桐です。乾燥期間は、約3年間。梅雨時を三回潜らせ、樹液やアク分を抜き取ります。すべて天然乾燥で行います。
板焼き
この工程は、板の曲りや歪みを、焼きを入れることによって直す工程です。
板を焼くことは、異常乾燥の状態に出来るだけ近づけて、板を狂いにくくすることでもあります。
板矧ぎ(いたはぎ)
桐の木は、中心に穴が開いており、必ず「板はぎ」を行います。
一枚の板でも、4~5枚に分け取り、あらためて矧ぎ直しをします。このときに、カンナで矧ぎ口を合わせながら、目合わせや目の曲りを一緒に直していきます。また、桐の木は、接着力が強いので、板矧ぎに向いた材質といえます。時間がたっても外れにくいのです。
板削り
それぞれの板材は、板矧ぎ加工の後に、厚みを揃えていきます。最初に荒削りを行い、中削り、仕上げとなります。それぞれのカンナを用いて、削って仕上げます。
ホゾ組み合わせ
各部分の組手とほぞを取っていきます。
柄の組み方はいろいろありますが、桐箪笥の場合は、マリ組み、平組み(それぞれ、組手の数によって3ツ組、5ツ組、7ツ組、9ツ組といいます。)追込みほぞ、1枚ほぞ、2枚ほぞ組など、いろいろの組手の種類があります。
本体組み立て
いよいよ本体の組立加工になりました。この時に、タンスの良し悪しが決まり、仕事の半分が終わる加工になります。立て方が悪いと歪んだタンスになるので、組手をしっかり組み立てて、カネン手(直角)を入れていきます。
本体組み立て
タンス本体に合わせた、前板、カキ板、向板をマリ組で組み、仕上げを行った後に引き出しを組み立てていきます。この時も直角にひずみがないように組み立てて、最後に底板を打ち上げます。この時に木クギ(柘の木)を用いて止めていきます。
塗り
ヤシャブシの実を煎じた液に砥粉を混ぜ込み、数回、塗り重ねていきます。また、カルカヤの草の根を束にしたウズクリを用いて目立て作業も塗りの間に繰り返して行います。仕上げ塗りを行います。
塗り工程の最後に、防水加工と天然ロウまたはカルナバローを磨き込んで仕上げを行います。この時に、光沢にムラが出ないように注意していきます。
金具付け
金具類を取り付けます。桐の性質上、機械等は使用せず、手打ちで行います。特に、カギ座の取付や穴あけには注意が必要で、独特の技術を必要とします。
完成
最後に、扇などを取り付けて、微調整を行って完成となります。
もちろん、内部のホコリやノコくず類、汚れもきれいに掃除をして、すぐ使用できる状態にしてお渡しします。